インフィニティQ:アルファを見つける

インフィニティQ:アルファを見つける

前回発表した「インフィニティQ:膨大すぎるアルファ」の最新レポートの続きです。インフィニティQは、ボラティリティ戦略のみを採用したヘッジファンドプロダクトのInfinity Q Volatility Alpha hedge fundも運用していました。2020年3月末、7億6000万ドルの運用資産を規制当局に報告したこのファンドも現在清算されています。私たちはこの2つのファンドの共通期間である2014年9月から2021年1月までのファンドパフォーマンスを比較しました。Volatility Alpha hedge fundは年率16.8%のリターンで、これは同期間のDiversified Alpha mutual fundの年率5.3%のリターンの3倍以上です。(2021年3月の修正前ですが)

リターンの違いは目を見張るものがありますが、“1940年投資会社法”に登録されたファンドに課せられるすべての投資、取引、レバレッジの制約を考えると、ヘッジファンドがミューチュアルファンドよりも優れたパフォーマンスを発揮することは珍しくありません。

金融メディアは、COVID-19パンデミック渦中での双方のファンドの並外れたパフォーマンスに着目してきました。 2020年6月、コロナによるマーケットの暴落でボラティリティ取引により著名なヘッジファンドが大きな痛手を被った(例:アリアンツストラクチャードアルファマラカイトパープラスパートナーズローニンキャピタル)、逆に功を奏した(例:ユニバーサ、キャップストーン)事実に関する報告を受けて、金融専門誌Institutional Investorは、「第1四半期に大幅なドローダウンがあった」という噂がでていたInfinity Q Volatility Alpha hedge fundに問い合わせをしたところInfinity QのCIOであるベリサリス氏から、2020年第1四半期のリターンは5.6%であるという回答を得ました。 ウォールストリートジャーナルは最近の記事で、2020年の第1四半期のファンドのデリバティブの評価に関する潜在的な問題の調査に着目しています。

私たちの分析では、Diversified Alpha mutual fund のCOVID-19渦中のパフォーマンスに明らかな問題は見つかりませんでした。 下図は、2つのファンドの2020年第1四半期のパフォーマンスを、S&P500インデックスS&P 500 VIX中期先物インデックス、およびブルームバーグ商品指数と比較したものです。ヘッジファンドの5.6%に対してミューチュアルファンドは8.9%のリターンで、VIX中期指数は85.5%、S&P 500指数と商品指数はそれぞれ-19.6%と-23.3%でした。私たちのリサーチでは、Diversified Alphaのパフォーマンスは、主にコモディティ(ショートエクスポージャ)とVIX指数(ロングエクスポージャ)が寄与していることがわかっています。双方のファンドは、コロナ危機の期間に苦戦を強いられたピアグループとは異なり、マーケットの低迷時を補うように設計された「ロング・ボラティリティ」戦略を採用していました。私たちのモデルでは、このファンドのパフォーマンスがCOVID-19のパンデミック渦中にもかかわらず他のボラティリティ戦略のヘッジファンドより高かったのは、コモディティのマイナスエクスポージャによるものであることを示しています。

次に、5億ドルのパフォーマンスギャップを埋めるために 1)Infinity Q Diversified Alpha fundは、2021年3月に17.8億ドルのNAV(2021年2月現在)から12億5000万ドルに再評価されました。これは約5億ドルの損失です。、以前行ったDiversified Alpha mutual fundのスタイル分析で使用したボラティリティインデックスに代えてInfinity Q Volatility Alpha hedge fundをファクターとして使用しました。この方法は、マルチストラテジーファンドが上手くいった「ストラテジー単体」をビークルの一部として使用することと同じ視点です。

下図は、VIX中期ボラティリティファクターをVolatility Alpha hedge fundに置き換えた場合のDiversified Alpha mutual fundの過去のファクターエクスポージャです。投資スタイルは、前回のリサーチ記事のファクターエクスポージャとほぼ同じであることがわかります。Diversified Alpha mutual fundは、VIX中期ファクターを使用した場合と同様にVolatility Alpha hedge fundが一貫してロングポジションで表れています。ショートポジションにみられるEquity Value、Term Spread、Commodity、Goldは、ボラティリティファクターとしてS&P VIX中期先物指数を使用した私たちオリジナルのスタディのファクターエクスポージャによく似ています。

Diversified Alpha mutual fundとファクターポートフォリオのパフォーマンスを比較して明らかになるのは、リターンがほぼ同じであるということです。 InfinityQ Diversified Alpha mutual fundのパフォーマンスの大部分は、Volatility Alpha hedge fundを含むファクターポートフォリオによって説明できます。VIX中期ファクターで特定した大きなアルファは、全くなくなっています! スタイルポートフォリオの唯一の変更は、VIX中期ボラティリティファクターをVolatility Alpha hedge fundに置き換えたことでした。

Infinity Q Diversified Alpha mutual fundの「アルファ」はすべて、ボラティリティ取引戦略に由来しているようです。これは、先程の分析で、Volatility Alpha hedge fundのエクスポージャによって表されています。下図では、mutual fundのパフォーマンスを(赤色)で示し、Volatility Alpha hedge fundをファクターのとした内訳をみると、2014年以降のDiversified Alpha mutual fundの累積リターン38.8%は32.5%をVolatility Alpha hedge fundが占めていることがわかります。

マルチストラテジープロダクトの回帰ファクターとして既知のサブストラテジーを使用するとで、より複雑なプロダクトのスキルとリスクの両方の原因を特定することが可能です。このDiversified Alpha mutual fundの分析では、説明できない「アルファ」の源泉としてVolatility Alpha hedge fundを代替しました。何百もの異なる複雑なデリバティブ契約内容を精査する代わりに、ボラティリティ戦略がDiversified Alpha mutual fundによって生成された大きなアルファの源泉であると特定できた場合、ボラティリティリスクを明確に表すポジションの保有調査を絞り込むことができます。

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1. Infinity Q Diversified Alpha fundは、2021年3月に17.8億ドルのNAV(2021年2月現在)から12億5000万ドルに再評価されました。これは約5億ドルの損失です。