アイビーリーグ大学基金2020年度の運用評価:現時点で判ったこと

アイビーリーグ大学基金2020年度の運用評価:現時点で判ったこと

アイビーリーグ大学基金の2020年度と過去10年間の運用パフォーマンスの結果を簡単に見ていきます。

2020年6月30日に終了した会計年度(2020年度)のすべてのアイビーリーグ大学基金の運用結果が出る時期がやってきました。プライベートアセットのベンチマークの第2四半期の確定値はまだ公表されていませんが、その間いくつかの重要な視点が判ってきました。

ブラウン大学を除くすべてのアイビーリーグ大学基金とアイビーリーグの平均は、2年連続で米国国内の株式と債券の60/40ポートフォリオを下回りました:2020年度のアイビーリーグの平均リターンは6.3%でしたが、S&P 500 IndexとBloomberg Barclays US Aggregate Bond Indexの60/40の四半期のリバランスポートフォリオは8.8%でした。今年の結果は、8つのメンバーからなるアイビーリーグの大学間で大きなばらつきがあり、昨年よりもさらにばらつきが広がっていることを示しています。ブラウン大学は2年連続で12.1%を誇り、一歩リードしています。一方、アイビーの中で最も低いリターンはコーネル大学によって報告され、1.9%でした。アイビーリーグ大学基金の結果は、ペンシルバニア大学とコーネル大学を除くと過去2会計年度でほぼ同じリターンであり、 ペンシルバニア大学とコーネル大学はどちらも2019年度と比較して2020年度の収益が大幅に減少しています。

一見すると、大きく投資環境が異なる過去2年間のパフォーマンスの類似性は予想外ですが、同じ期間のアセットクラスのパフォーマンスを見ると、国内株式、債券、プライベートエクイティとヘッジファンド(アイビーリーグ大学基金ポートフォリオを占めているアセット)は、過去2年間で類似した収益を示しています。また、不動産、コモディティ、海外の先進国株および新興国株は、2019年度と比較してパフォーマンスが大幅に低下し、パフォーマンスの低いアイビーリーグに影響を与えた可能性があります。

さらに、単純に数字でみると、2020年度のマーケットの動向は、世界的なパンデミックによって引き起こされたすべての経済的および人的困難にもかかわらず、2019年の完全な繰り返しでした。(四半期ごとにシフトするのであるが)この注目すべき現象を、S&P500 Index の7月からの過去2会計年度の四半期ごとの累積結果の比較を、それぞれの下のグラフに示します:FY2019は2018年、FY2020は2019年です。

以前のリサーチで述べたように、最大​​の大学基金の規模が非常に大きいため、それらはインデックスファンドのような動きをし、その資産配分は、規模と変動性の両方において、大学基金のリターンの大部分を説明しています。したがって、2年連続でアイビーリーグのリターンがこのように一貫していることは驚くべきことではありません。2015年、2016年、2017年、2018年、2019年に我々が分析を行ったように、次の2020年の年次分析レポートでは大学基金のリターンをアセットクラスごとに詳細に分析し、大学間の運用結果の違いを説明します。

各大学の長期的な投資アプローチと、アイビーリーグのアセットの大部分が非流動的なプライベート投資に結びついていることを考えると、10年の投資期間でみることは、比較のためにより適切なフレームワークを提供でき、前年度比でみる変動の比較は、やや注意散漫な評価になりがちです。さらに、評価の遅れやプライベートアセットの報告のずれにより、公開市場のベンチマークとの短期的なパフォーマンスの比較の精度が低下します。2020年度のアイビーリーグの10年間の年率平均リターンは9.5%で、国内の60/40ポートフォリオの10.1%をわずかに下回っています。2016年度に両方とも同じ6.9%を記録した後のアイビーリーグの平均は、4会計年度連続で、10年ローリングベースでパッシブの60/40ベンチマークを下回りました。 1) 2018年に上記のトレンドについて記述後、我々研究チームは、大きな大学基金の結果に寄与する可能性のあるリスクとアロケーションのトレンドの両方を定量化することに焦点を当てました。残念ながら一部の学者は、アイビーリーグのリターンを減少させるパラダイムに焦点を当てるのではなく、大学基金が実際にアウトパフォームできるようなベンチマークを見つけようと懸命になっています。

次のチャートは、長期間の大学基金の運用結果のトレンドについて、簡単な説明を提供することができます。ローリング10年間のアイビーリーグの平均と60/40のパフォーマンスの比較、アイビーリーグ大学基金のポートフォリオを占めるアセットの10年間の年率パフォーマンスを示します:国内株式、プライベートエクイティ、そしてヘッジファンドです。パブリックアセットとプライベートアセットの長期のパフォーマンスのずれは着実に減少している一方で、60/40ベンチマークとヘッジファンドのずれは拡大していることがわかります。これら2つの事実だけでも、2016年度の「Ivy Average」と「60/40 Domestic」の10年間のローリングパフォーマンスの「反転」を説明できます。

アルファの減少やプライベートエクイティの非流動性プレミアムの低下、ヘッジファンドのパフォーマンスに影響を与える市場効率の向上など、観測されたトレンドの理由について議論する人もいるかもしれませんが、実際には、平均的にアイビーリーグ大学基金モデルの利点は低下しています。

ただし、いくつかの注目すべき例外があります。プリンストン大学の10年リターンは10.6%で、前述の傾向にもかかわらず、長期的に60/40を一貫して上回っている唯一のアイビーリーグです。イェール大学の10年リターンは10.9%で、2018年を除いて毎年60/40を上回りました。ブラウン大学は、他のアイビーリーグと同様の資産配分を行っているにもかかわらず、過去2年連続で優れたパフォーマンスを発揮しています。我々の2019年度の大学基金レポートでは、各大学の運用結果が広く分散していることを、アイビーリーグのポートフォリオの多くの重要な部分を構成しているプライベート投資の非常に幅広いリターンの差にあると結びつけました。以下はそのレポートから抜粋したチャートで、ピアグループ比較でみると大型プライベートエクイティの年率リターンの結果の範囲が約70%あることを示しています。プライベートエクイティにおけるファンド選択リスクは驚異的であり、これが10年以上のコミットメントであることは言うまでもありません。

このような投資選択リスクは、オルタナティブ投資、特にプライベートエクイティを調達する際のデューデリジェンスで重要視されます。例えば、PEファンド間のパフォーマンス結果のずれは、レバレッジによるものかセクター配分の決定によるものかなどです。これまでのリターンベースのスタイル分析(90年代初頭にMPIが開発)は、プライベート投資の分析に制限がありました。しかし、今後リリース予定の新しいMPIプライベートエクイティモデルは、複雑なプライベートエクイティファンドを解読し、スキルの要因を判別します。ファンドのパフォーマンスデータのみを使用することにより、このような定量的手法は客観的でスケーラブルで、複雑な債券戦略ヘッジファンド分析と同様の透明性を個々のプライベートエクイティファンドにもたらします。乞うご期待!

【アセットクラスベンチマーク】

Asset Class Index
Bonds and Cash Bloomberg Barclays U.S. Aggregate Bond
US Equity Russell 3000
Foreign Developed Equity MSCI EAFE
Emerging Market Equity MSCI Emerging Markets
Real Estate Cambridge Associates Real Estate*
Private Equity Cambridge Associates Private Equity*
Venture Capital Cambridge Associates Venture Capital*
Commodities Bloomberg Commodities Index
Hedge Funds HFR Fund Weighted Composite

*2020年第2四半期の暫定結果を含む

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1. 2018年に上記のトレンドについて記述後、我々研究チームは、大きな大学基金の結果に寄与する可能性のあるリスクとアロケーションのトレンドの両方を定量化することに焦点を当てました。残念ながら一部の学者は、アイビーリーグのリターンを減少させるパラダイムに焦点を当てるのではなく、大学基金が実際にアウトパフォームできるようなベンチマークを見つけようと懸命になっています。