リスクパリティファンドのコロナウイルスの影響は?

リスクパリティファンドのコロナウイルスの影響は?

今回のコロナショックによるマーケット危機において、リスクパリティファンドはどのような動きをしているのでしょうか? 我々の分析ソフトスタイラスプロによってアロケーションとレバレッジ水準の変化を推定します。

あなたが思っているほど悪くない(2020年第1四半期)

史上最長のブルマーケットの後半に起きた度重なるドローダウンは、リスクパリティ戦略の売りによりボラティリティをより悪化させたと非難されています。また現在のコロナウイルスのパンデミックによる経済的影響や暴落によるベアマーケットでも同様です。中には戦略そのものが時代遅れだと思っている人たちもいます。何十年にわたり金利が過去の最低水準に下がったことにより、モルガンスタンレーなどは、戦略はもはや実行可能ではなく、今後10年間は​​パフォーマンスが低下すると予測しています。

しかし、現在のマーケット危機に、リスクパリティファンドは実際にどのような動き(反応)を見せたでしょうか?一部のファンドのパフォーマンスは、リスクパリティ反対論者が思っていたよりも良い動きをしました。これは一部の運用者や資産運用業界のウォッチャーにとっては驚きかもしれませんが、リスクパリティ投資家にとっては好ましいことです。

リスクパリティは、ポートフォリオの各資産のリスク寄与度のバランスをとることにより、すべての投資環境で比較的うまく機能するように設計されたマルチアセット戦略です。一般的に、ポートフォリオのボラティリティは10〜15%を目標とし、債券のボラティリティが歴史的に低いため、通常、債券の配分はレバレッジが活用されます。アロケーションシフトは、複数のルールとモデルを合わせた一任管理により、段階的に実行されます。しかし、これらが広範囲に及ぶためマネージャーの裁量に差異があらわれ、多くの場合で異なる結果をもたらします

すべてのリスクパリティ投資商品全体の推定総資産ベースは1,750億ドルから4,000億ドルあり、資産の大部分は40 Actミューチュアルファンドではなく、ヘッジファンドであります。当戦略のパイオニアであるレイダリオ率いるブリッジウォーターアソシエイツLPの「ブリッジウォーターオールウェザーファンド」は、約600億ドルでリスクパリティミューチュアルファンドの中で最大のファンドです。リスクパリティミューチュアルファンドを調べる利点は、高頻度でタイムリーなパフォーマンスデータを得られるからです。MPIスタイラスのダイナミックスタイル分析(DSA)を使用した日次の動的分析は、月内のアロケーションを推定するユニークな機能を分析者に提供します。通常ミューチュアルファンドは月内のポジションを開示する必要がなく四半期ごとに保有内容をレポートするので、エクスポージャに関する情報は、タイムリーに入手出来ません。

直近のアロケーションシフトを見るためにMPIスタイラスのダイナミックスタイル分析(DSA)を使用した日次の動的分析により、いくつかのリスクパリティファンドを分析しました。そうすることで、実際の数値が公表される前に、見通しにくいヘッジファンドのリスクパリティの全容を予想することができます。そこで、複数のファンドを2つのパリティ・インデックスと2つの合成ベンチマーク・インデックス(S&P 10%リスクパリティインデックスS&P 12%リスクパリティインデックスと国内60/40ポートフォリオ、グローバル60/40ポートフォリオ)と比較してみます。

2020年4月9日のリスクパリティファンドのパフォーマンス ファンドの月次リターン:モーニングスター

最初に、最大ドローダウンの観点から損失を見てみましょう。4つのベンチマーク・インデックスの最大ドローダウンは、-20.9%から-29.1%です。また、リスクパリティミューチュアルファンドは、-13.4%(Columbia Adaptive Risk CRAAX)から-42.8%(Wealthfront Risk Parity WFRPX)と違いが見られ、それらの最大ドローダウン平均値は-22.12%でした。これは、バランス型の合成ベンチマークと同じ水準であり、また2つのリスクパリティ・インデックスよりも優れています。なかでもAQR Risk ParityとColumbia Adaptive Risk、およびPutnam PanAgoraは、どのベンチマークよりもドローダウンが著しく小さいです。

次に、MPIスタイラスで2020年の初めからのレバレッジの増減を推定します 1)DSAを使用して推定されるインプライドレバレッジは、必ずしも文字通りのレバレッジを表すものではありません。実際のレバレッジは、ファクターを複製するポートフォリオによって暗示されるレバレッジよりも大きい/小さい場合があります。。分析により導かれた推定レバレッジは、平均すると1月3日から4月9日(下図X軸)の推移のように約-80%から-30%未満まで低下しました。下のグラフは、10本のリスクパリティミューチュアルファンドの週平均インプライドレバレッジ水準とS&P 500の週次パフォーマンスを示しています。

急激なボラティリティの増加によって、リスクパリティ戦略内でアセットが強制的に売られたことが、市場の急落とボラティリティの増加につながったのでしょうか?リスクパリティファンドの推定総資産(上限4,000億ドル)が同じ方向に動き、ヘッジファンドやその他のリスク配分戦略ファンドがミューチュアルファンドと同様の行動を取った場合 2)ブリッジウォーターのAll Weather 12% Target Volatility fundの1月〜3月のパフォーマンスは、ミューチュアルファンドとほぼ一致しています。3月に-11.82%の損失を計上したため(ユーリカヘッジによる)、S&P Risk Parity 12% Index (-12.9%)と10のミューチュアルファンドの平均-9.3%の間です。、これは市場が激しいストレスに見舞われる中、最も流動性が高い伝統的安全資産にまで及ぶ、著しいレバレッジの解消となります。リスクパリティファンドが3月に見られたドローダウンの一因であったことは明らかで、相関の内訳、ボラティリティは重要な要因であります。

しかしながら、システミックリスクをもたらすにはドルベースが少なすぎたためか、結果的には、反対方向のリバランスによって相殺されました。これは、連邦準備制度の介入によるものか、あるいはまったく別の理由で、今のところ悲惨な予測は当たっていません。

それでは、成功例はどうでしょうか?一部のファンドは、どのベンチマークよりも大幅に低いドローダウンでした。Columbia Adaptive Riskのパフォーマンス 3)ディスクレーマー: MPIはパフォーマンスベースの分析を行っており、公開されているファンド情報以外の投資戦略のクオリティあるいはメリットに関してコメントは行いません。また当該ファンドの実際の投資戦略、ポジションあるいは保有情報を知ることを要求したり示唆するものではありません。この分析は、ファンドのリターンのみを使っており、実際の保有情報は反映しておりません。あらゆる定量分析に固有の分析と実際の保有、また/あるいはファンドによる投資決定との乖離が予想されます。本レポートは、MPIが信頼できると判断した情報源から入手した情報をもとに作成しておりますが、当該情報の正確性を保証するものではありません。情報提供を目的としたものであり、本ファンドの勧誘のために作成されたものではありません。は、当初はレバレッジが中程度だったものの、かなり早い段階でデレバリングを開始したことを示しています。Wealthfront Risk Parityはレバレッジがないように見えますが、AQR Risk Parity fundはミューチュアルファンドの平均とリスクパリティインデックスに近い動きをしているようです。下のグラフでVIX水準と並べて表示すると、各ファンドのレバレッジアプローチを解読するのが容易になります。また、レバレッジとは別に、3つすべてのファンドで相対的な株式エクスポージャの低下という形でリスクが低下していることにも注目してください。これらは保有情報を表すものではありませんが、エクスポージャは、市場インデックスの一般的なバスケットを使用した動的モデルを使用することによる近似値であります。

リスクパリティ:運用の中身が解っていれば、堅実なアプローチ

リスクパリティの基本的な前提は、ボラティリティが最もバランスの取れた60/40ブレンドと同様に、主に株式によって決まるということです。リスクパリティアプローチは、主要なアセットクラス、経済体制、またはドルに対するその他のリスク環境間でリスクを割り当てます。理論的には、これにより、ほとんどの環境でうまく機能する、よりバランスのとれたポートフォリオが生成されます。各資産のボラティリティを一定に保ち、ポートフォリオ全体のリスク目標を維持するためには、リスクを正しく測定、推定、および積極的に管理することが鍵となります。

伝統的アセットアロケーションと同様に、リスクパリティはアセット間の低い相関関係に依存します。すべての資産クラスが一斉に急落した場合、高いレバレッジは戦略のコストを増加させ、流動性の損失はこれを悪化させる可能性があります。多くは、リスク資産の変化と流動性の継続を前提として、より良い予測により、最適なタイミングでレバレッジを解消します。今回選択したミューチュアルファンドは、流動性は明確ではないが、この急落で消滅することなく、一部のファンドは将来期待できる可能性を示唆しています。そして、これは存在するリスクの大きさを考慮すると、目先の注目に値します。

リスクパリティミューチュアルファンドの運用成績はさまざまですが、リスクの推定、リバランスアルゴリズム、投資手段、さらにはリスクターゲットさえファンドによって異なるため、激しいストレスが発生したときにリスクパリティマネージャを積極的に監視することは重要です。動的なモデルと日次のファンドデータを組み合わせることで、「リアルタイム」でファンドのモニタリングに役立つだけでなく、さまざまなリスクパリティファンドとの比較やデューデリジェンスの共通基準としてフレームワークを提供します。

また、ヘッジファンド・リスクパリティのビークルのリターンにも注目し、それらのモデルとプロセスがコロナウイルスによって引き起こされる市場の混乱にどのように適応し続けるかを確認します。

最後に、投資家は、リスクパリティマネージャのパフォーマンスが、安価なバランス型ポートフォリオや、ETFで提供される低コストのリスクパリティ戦略よりも有意に優れているかどうかを精査する権利を持っています。世界的な大規模な財政刺激策が、1996年に「ブリッジウォーターオールウェザーファンド」の運用開始以来、リスク・パリティ戦略とその投資家が享受してきた利回りの低下傾向を逆転させる可能性がある中、現在の歴史的な低金利環境に加えて、利回りのトレンドや相関関係の規範が変化する可能性を考慮すると、今後の戦略に何が期待できるのかを問う必要があります。

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1. DSAを使用して推定されるインプライドレバレッジは、必ずしも文字通りのレバレッジを表すものではありません。実際のレバレッジは、ファクターを複製するポートフォリオによって暗示されるレバレッジよりも大きい/小さい場合があります。
2. ブリッジウォーターのAll Weather 12% Target Volatility fundの1月〜3月のパフォーマンスは、ミューチュアルファンドとほぼ一致しています。3月に-11.82%の損失を計上したため(ユーリカヘッジによる)、S&P Risk Parity 12% Index (-12.9%)と10のミューチュアルファンドの平均-9.3%の間です。
3. ディスクレーマー: MPIはパフォーマンスベースの分析を行っており、公開されているファンド情報以外の投資戦略のクオリティあるいはメリットに関してコメントは行いません。また当該ファンドの実際の投資戦略、ポジションあるいは保有情報を知ることを要求したり示唆するものではありません。この分析は、ファンドのリターンのみを使っており、実際の保有情報は反映しておりません。あらゆる定量分析に固有の分析と実際の保有、また/あるいはファンドによる投資決定との乖離が予想されます。本レポートは、MPIが信頼できると判断した情報源から入手した情報をもとに作成しておりますが、当該情報の正確性を保証するものではありません。情報提供を目的としたものであり、本ファンドの勧誘のために作成されたものではありません。